n-03 見積りのカラクリ

悪い見積りと良い見積り

e-37見積りには、大雑把などんぶり勘定のものから、詳しい内訳書付きのものまでいろいろありますが、さて、どんな見積書がいいのでしょう。

大雑把な見積りとは、ほとんどが一式計算となっているもので、トータルとして予算に合っていればいい、という考え方のもので、これは悪い見積りです。よほど施工者を信用していないと受け入れられない見積りで、本当に必要なものが入っているのか、無駄なものや、もしかしたら水増しされているかもしれませんので、一式という項目が多く、枚数が少ないペラペラな見積りは、基本的に疑ってかかってください。

それに比べて良い見積りとは、数量や単価が適正なのかを判断できるような、各項目の材料、数量、そして単価が明解になっているものです。工事中に発生する変更時の金額調整にもこの見積りが基準になるので、誰が見ても金額の根拠が分かるようになっているものが良い見積りです。

見積りの仕方(書き方)は、実際の施工もだいたい反映していますので、大雑把なところは大雑把な施工、細かいところは細かい施工とみてもいいかもしれません。
施工者を選ぶときには、トータル金額だけでなく、見積りの仕方がどうなっているのかが、施工者選びのポイントになります。

坪単価

よく建築費を「坪あたり○○万円」という言い方をし、どのくらいでつくれるの?というときにも聞かれますが、これは単純に工事費の合計を坪数で割った数字で、本来参考にできるものではありません。

例えば坪45万円とだけ聞けば、「安くいね」と思いますが、使っている材料やその内容が粗末では、逆に高い買い物になっていることもあります。
昔のように材料のバリエーション、建て方や間取りに違いがあまりなかった頃は、その坪単価からおおよその内容を想像できましたが、いろいろなことのできる現在の住宅に、とくにまだ建ってもいないものを、坪単価を頼りに進めるなんて無茶な話です。

現代では、坪単価は建てた後に出る結果としての金額であり、材料や工法などの分かる人が今までの経験を通してその内容を考え合わせてはじめて判断できるものです。そもそも建物の良さとは、使いやすさや気持ち良さといった、金額に出ないところに依るところが大きいのですから、あまり坪単価に振り回されないようにお気をつけ下さい。

見積書のチェック

見積書は、基礎工事や木工事などの大きな工事種別ごとに構成されていて、その工事種別に、具体的な部材の単価や数量が入っている内訳詳細があります。
見積り図面をもとに、材料や数量は間違っていないのか、また単価や施工費、そして経費などが適正なのかどうかなど、図面に記載されていないものも気を付けながら、第三者が確認するのが見積りチェックです。

しかし、同じ図面でも、業者が違えば拾い方が違って、金額も変わります。また金額が同じでも、工事の出来上がりに違いがあったりしますので、見積り金額からだけでは、施工の良し悪しは判断できないため、施工者の質なども考え合わせながら、総合的に判断していきます。

誰でも高い買い物はしたくありませんが、安さを求めるためだけのチェックではなく、設計したものがきちんとつくれる良い業者さんを探すための作業と捉えてください。